浜ちりめんQ&A



Q1.浜ちりめんを始めた人は?
A1.240年ほど前のことです。姉川(あねがわ)や高時川(たかときがわ)の水害にも負けない桑(くわ)を栽培して、養蚕(ようさん)を営んでいたびわ町難波(なんば)の農民、中村林助と乾庄九郎が、丹後ちりめんの織り方を導入したのが始まりとされています。
 その後技術が育まれ、「浜ちりめん」という商品名で販売されるようになりました。

Q2.ちりめん独特のシワシワはどうしてできるのですか?
A2.このさざ波のようなシワシワのことを「シボ」と言います。あたたかみやなめらかさのある、ちりめんの風合(ふうあ)いは、このシボによって生まれます。これは、強いヨリをかけたよこ糸を使って布を織るため、左右の撚糸(ねんし)のヨリがもどろうとして縮むためにできます。
 浜ちりめんに織り込まれているよこ糸は、八丁撚糸機(はっちょうねんしき)でヨリがかけられています。これは水をかけながらヨリをかける方法で、姉川の伏流水(ふくりゅうすい)などが使われています。強いヨリが得られるので、絹の光沢(こうたく)が増すとともに、弾力性(だんりょくせい)のある体になじみやすい布ができるのです。

Q3.浜ちりめん工業協同組合ではどのような仕事をしているのですか。
A3.現在浜ちりめん工業協同組合には、約七十の織屋(はたや)が加盟(かめい)しています。それぞれの工場で織られた布は、生機(きばた)と呼ばれるゴワゴワしたものです。それを組合で精練(せいれん)加工し、セリシンとい膠(にかわ)質を落とすと、柔らかなちりめんの生地になります。
 このときに使われる水はセリシンや汚れをよく落とすことのできる軟水(なんすい)です。透明なびわ湖の水は、水深7メートルの奥深くまで射し込む光によって軟水に変化しています。撚糸(ねんし)にしろ、精練(せいれん)にしろ、姉川やびわ湖の澄んだ水が浜ちりめんの命なのです。
 その後仕上げ加工され、検査を通った製品には、組合の浜工マーク(登録商標)と検査印章(けんさいんしょう)が押されて機屋に戻されます。

Q4.織屋さんからは、どこへ出荷されていますか?
A4.織り上がった浜ちりめんの白生地は、約60パーセントが京都の問屋へ、他に名古屋、東京や十日町、加賀などへ出荷されています。
 問屋は白生地を染め屋に出して美しい反物にし、全国の小売業者から消費者へと流れます。

Q5.浜ちりめんの種類は?
A5.シボの高い一越(ひとこし)ちりめん、古代ちりめんや、たて糸よこ糸を撚糸(ねんし)の工程で変化させた変わり織ちりめんがあります。
 また、絹の紡織(ぼうしょく)糸を使って織った浜つむぎもあります。

Q6.1反の着物をつくるのに、使われる繭の数は?
A6.1個の重さ約2グラムの繭(まゆ)から1300〜1400メートルの糸がとれます。この繭糸を5本〜7、8本合わせて1本の生糸にします。1反の着物をつくるのには、約2300個の繭が使われていることになります。

Q7.浜ちりめんに使われている生糸は、どこで生産されたもの?
A7.国内産の生糸が80パーセント強で、主に長野、福島、山梨、埼玉、群馬産です。他は中国やブラジルなどから輸入したものです。

Q8.浜ちりめんは、全国生産の何パーセントくらいを占めているのですか?
A8.好景気の昭和47年には180万反以上を生産していた浜ちりめんですが、その後構造的な要因(よういん)によって全国的にちりめん生産量は減少しています。浜ちりめんの生産量も平成に入ってからは80万反ほどになっています。
 その量は全国で生産されるちりめんの白生地の約20パーセントを占めています。これは丹後ちりめんに次ぎ、全国生産の第2位です。

Q9.浜ちりめんと丹後ちりめんの違いは何ですか?
A9.浜ちりめんが強撚糸(きょうねんし)を使ったシボの高い重目(おもめ)の無地(むじ)織物を主体とするのに対し、丹後ちりめんは平織地に文様を織り出した綸子(りんず)などの紋織物を主体としています。

Q10.ちりめんが初めて織られたのはいつ頃のことですか?
A10.日本ではじめてちりめんが織られるようになったのは天正年間(1573〜1592)のことです。中国(明:みん)の職工が堺(さかい:大阪府)にやって来て技法を伝え、西陣(にしじん)、丹後(たんご)へと拡がりました。

Q11.浜ちりめんの着物は、どのよう着るこなせばよいのでしょう。
A11.浜ちりめんのシボは、色に深みをもたせるので、落ち着いた味わいや高級感のある着物に仕立て上がります。年齢を問わず、上品なものを指向(しこう)される方に好まれるようです。留袖(とめそで)など、とっておきの日のための着物として、お持ちの方が多いようです。

Q12.ちりめんを使った小物には、どんなものがありますか?
A12.正絹(しょうけん)のちりめんを使ったふろしきやふくさ、帯あげなどがあります。「ちりめん」と名の付く小物は、ほかにもいろいろありますが、最近ちりめんの白生地に曳山祭(ひきやままつり)の風景を描いた絵をつくられた会社もあります。また、女の子が遊ぶお手玉にかわいい顔をつけた、お手玉人形などの楽しい小物もあります。

<資料提供>
上記の資料は、地域情報紙「長浜み〜な」のお許しをいただき、
Vol.22「特集 絹を味わう」より転載させていただきました。



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(最終更新日 : 1998/12/07)
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