数え歌
一兵衛さんが イモ掘(ほ)って
二兵衛さんが 煮(に)てたべて
三兵衛さんが 酒のんで
四兵衛さんが 酔(よ)っぱろて
五兵衛さんが ゴボー切って
六兵衛さんが ろくでなし
七兵衛さんが しばられて
八兵衛さんが 腹(はら)切って
九兵衛さんが 灸(きゅう)やいて
十兵衛さんが 重箱(じゅうばこ)かついで
エッサッサ
ひとりきな
ふたりきな
三人きたら
よってきな
いつきてみても
七この帯(おび)を
八の字にしめて
九るっとまわって
一貫(いっかん)しょ
一番はじめは 一の宮
二月 日光(日光) 東照宮(とうしょうぐう)
三月 佐倉(さくら)の宗吾郎(そうごろう)
四月 信濃(しなの)の善光寺
五つ 出雲(いずも)の大社(おおやしろ)
六つ 村の鎮守(ちんじゅ)さま
七つ 成田(なりた)の不動尊(ふどうそん)
八つ 八幡(やはた)の八幡(はちまん)さん
九つ 高野(こうや)の弘法(こうぼう)さん
十(とお)で 東京二重橋(にじゅうばし)
一番はじめは 一の宮
二(にい)で 二宮金次郎(にのみやきんじろう)
三つ 佐倉(さくら)の惣五郎(そうごろう)
四で 信濃(しなの)の善光寺
五つ 出雲(いずも)の大社(おおやしろ)
六つ 昔は田や畑
七つ なんでも ねえあなた
八つ 八幡(やはた)の八幡(はちまん)さん
九つ 高野(こうや)の弘法(こうぼう)さん
十(とお)で 東京二重橋(にじゅうばし)
(注)この歌の文言は、人物シリーズ、名所シリーズなどがあり、また、その人物や名所も各村々によっていろいろと歌われてきたようです。ここに掲載したものは、かなり各地区のものが混じり合っているように思います。
匿名の方から、次のようなアドバイスをいただきました。ありがとうございます。
日本の伝承童謡 / 町田嘉章, 浅野建二編(岩波文庫)によれば、手鞠唄「一番はじめは」(愛知県)とのこと。
一つ 伊勢(いせ)の大神宮(だいじんぐう)
二(にい)で 日光東照宮(とうしょうぐう)
三で 讃岐(さぬき)の金比羅(こんぴら)さん
四で 信濃(しなの)の善光寺
五つ 出雲(いずも)の大社(おおやしろ)
六つ 武蔵(むさし)の阿弥陀(あみだ)さん
七つ 奈良の大仏さん
八つ 八坂(やさか)の八幡(はちまん)さん
九つ 高野(こうや)の弘法(こうぼう)さん
十(とお)で 所の氏神(うじがみ)さん
(注)この歌は、「ふるさと 湖北の民謡」の筆者 馬場秋声さんから教えていただきました。長浜市の隣、東浅井郡虎姫町に伝承されていたものだそうです。上記「一番はじめは」の本歌で、本来は名所歌ではなかったかとのことです。比べてみると、その変化に興味が湧いてきます。
一つとせ 人目かくしの 頬(ほお)かぶり
かくしても見えます 伝兵衛(でんべ)さん なのこっちゃいな
二つとせ 二股大根(ふたまただいこん) 別れても
お小夜(さよ)と伝兵衛さん 離りゃせぬ なのこっちゃいな
三つとせ 水に映るは 唐崎の
松より色濃い 伝兵衛さん なのこちゃいな
四つとせ 用もないかいどを 二度三度
お小夜に会おとて また一度 なのこっちゃいな
五つとせ いつも裏から おいでるに
今晩雨降って 表から なのこっちゃいな
六つとせ 無限地獄(むげんじごく)の 鐘が鳴る
お小夜に来いとの 早鐘じゃ なのこっちゃいや
七つとせ 長い長刀(なぎなた) ふり上げて
伝兵衛さんがお小夜に 斬(き)りかかる なのこちゃいな
八つとせ 焼けた屋敷に 倉立てて
お小夜を入れて やや生ます なのこちゃいな
九つとせ ここで死んだら どこで逢う
極楽浄土(ごくらくじょうど)の まん中で なのこっちゃいな
十とせ 遠いとこから 餅(もち)もろて
お小夜と伝兵衛さんが 喰いちぎる なのこっちゃいな
(注) | なのこっちゃいな=何のことだろう |
| かいど=家の表のこと。 |
| おいでる=おいでになる。いらっしゃる。 |
| やや=赤ん坊 |
| もろて=もらって |
一つ 俵(たわら)ふんまえて
二で にっこり笑ろうて
三で 盃(さかずき) いただいて
四つ 世の中 良いように
五つ いつもの どとくに
六つ 無病(むびょう) そくさいに
七つ なにごと ないように
八つ 屋敷(やしき)を拡(ひろ)げて
九つ 小倉を建てならべ
十で とんとおさまった
(最終更新日 : 1998/12/03)
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