手まりの歌
ひいや ふうや
みいや ようや
いつやの むさし
ななやの やくし
ここのや とおや
手まり羽つき かるたはよいが
いつがいつまで 夜ふくるまでも
遊び過ごして 喧嘩(けんか)は悪い
喧嘩する子は 大人ののちも
人にそしられ 憎まれがちで
一生よいこと あらぬなり
ちょいと一かんつきました
わしの大事な 絹糸てまる
つけば叫ばれる 残せばかびる
川へ流せば 柳にとまる
柳切りたや 川柳
ちょいと一かんつきました
ここから行けば 名古屋へ行ける
名古屋子供衆は しんしょの子供
七つ八つから 紅(べに)金(かね)つけて
門より外へ 涼みに出たら
お若衆が お手引きなさる
お手が痛いで はなしておくれ
はなしもならぬ 暖めもならぬ
お盆がきたら 帯買うておくれ
赤いがよいか 白いがよいか 黒いがよいか
丁度一かんつきました
(注)
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夜ふくる=夜がふける
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ちょいと=チョットとも。少し。
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てまる=テンマとも。手まりのこと。
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しんしょ=金持ち
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向かいの藪に 何やら見ゆる
銀でもないし 星でもないし
お鶴さんと お亀さんと
お手をひきよて 観音(かんのん)へ詣る
観音の坂で 旦那(だんな)に逢うて
やれやれうれしや どこまでついた
江戸までついて行こう
江戸の城は 高い城で
一段上って 二段上って
三段目に 東を見れば
よいよい娘が 三人通る
一でよいのは 糸屋の娘
二でよいのは 二の屋の娘
三でよいのは 酒屋の娘
酒屋の娘は 大伊達(だて)こきで
油どろどろ 銀どろどろ
五尺元結(もとゆい)い きりりとまいて
結びどころが 五葉の松
守りは守りづれ 菜種は菜づれ
麦ははしこて つれがない
来いといわんじょは わしゃどこまでも
長い刀の 末までも
わたしのお姉妹 三人ござる
姉は丸わげ 妹は島田
まだも一人は 男まげ
丁度一かんかしました
(注)
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ひきよて=引き合って
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伊達(だて)こき=派手なこと
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はしこて=ハシカイ。体がかゆいこと。
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いわんじょは=言わぬ以上は?
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でぼちんでぼちん どこ行く
お寺の屋根から 突き落とされて
だれが落とした おんべが落とした
おんべ憎いや 坊可愛(かわ)いい
川へはまって 小石を拾うて
小石ください 帯(おび)買(こ)うてあげる
帯にゃ短い たすきにゃ長い
ちょいと一貫(いっかん)つきました
(注)
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でぼちん=デコとも。額の出た人。
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買(こ)うて=買って。
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とんとんたたくは だれさんや
千松米屋のおじさんや
今ごろ何しにおいでたの
せきだがかわってかえにきた
ちょいと一貫つきました
(注)
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おいでたの=いらっしゃったの。
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せきだ=雪駄(せった)。ゾウリの一種。
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一つ火吹竹 かまどが たより
二つふいごの中 子どもが たより
三つ三日月 雲の中が たより
四つ嫁(よめ)さん 婿(むこ)さん たより
五つ医者さん 薬ばこ たより
六つ娘さん 化粧ばこ たより
七つ泣く子は まんじゅが たより
八つ山の中 ほら貝 たより
九つ紺屋(こんや)さん あい壺(つぼ) たより
十で としより婆(ばあ)さん 火ばこがたより



(最終更新日 : 1998/01/31)
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